最近のクリニックの現場から
新型コロナウイルス感染の拡大が止まりません。
当院の院長は循環器内科のため、集中治療や救命救急でECMO(エクモ)やPCPS(人工心肺)の装着や管理は常に行なってきました。
また看護師も状態が悪い患者様、大きな手術後の患者様を管理・ケアするICUや心臓外科病棟での勤務経験がある者もいるため、感染に対する知識と経験が豊富な分新型コロナウイルスに対する恐怖は感じてはいませんでした。
しかしこの第5波に入ってからは、陽性の患者様の感染経路が追えない状態、県外や感染流行地域に行ってなくても陽性となっている、職場や学校、普段のコミュティ内で陽性者が出ている数が非常に多いことなど、本当にすぐ身近に危機が迫っておりいくらクリニックで正しい感染予防策を取っていても、クリニック以外でいつ感染してもおかしくないということを肌で感じ、怖さを覚え始めています。
メディアでよくコロナ患者を受け入れている大きな病院を取材し、医療が逼迫している様子が紹介されます。いくつもの生命維持装置や点滴を装着している患者様を治療するためには、とても多くのマンパワーが必要で常に緊張感との戦いで現場は本当に大変です。
ただ当院もPCR検査の予約や問い合わせの電話が朝から鳴り止まず、看護師1人が午前中は電話対応で通常の業務ができない状態が続いており、コロナ感染症重傷者だけではなく地域医療を担う開業医の現場もかなり逼迫した状況なのです。
先日の心筋炎の患者様の救急搬送、その後も不整脈で来院され救急搬送一歩手前の患者様もいて院内でモニター装着、点滴ルート確保を行い薬剤投与により改善されて無事に帰宅することが出来ましたが、この方達がもし受け入れを断られてしまう状況になってしまったら…と想像すると本当に怖く、でも確実に今の状況が続いたら近い将来救える命が救えなくなるのだろうと感じています。
三島市では発熱患者の受け入れや、PCR検査を行っているところが限られており本当に困って電話してくださる方も多く、当院でもなるべく多くの方に検査をしてあげたいと思い休憩時間を返上して行っています。
しかし定期受診の方や持病が悪化しクリニックでの踏み込んだ治療を要する患者様が最優先のため、無症状でのコロナ検査希望の方を含めた発熱外来はどんなに頑張っても1日10人程度が限界で、お断りせざるを得ない状況になっています。
当院のポリシーとして、困っている患者様や頼りにきてくれる患者様をできる限りお断りせず診療したいので、お断りするときは本当に申し訳なく感じとても辛い気持ちです。
様々な考え方はあるとは思いますが、とにかく今はすぐ隣まで感染力の強いコロナウイルスが迫ってきているという危機感を持って、一人一人が節度ある行動をしていくことしかないと思います。